施主様は滋賀県野洲市のJQ3BQT局様
ご相談いただいたのが8月のはじめごろ。
ごく一般的なルーフタワーにV型ダイポールど50MHzの小さなビームなどが設置したいとのご相談。
ご相談の段階ではほぼ皆さんそうなんですがやはり欲張りさんで思い描くことめいっぱいの事を希望されます。
それがあかんと言うんじゃないしええんですけどやはりなかなか思うようにもいかないものでちょっと我慢してもらったりアンテナの機種を変えたりと相談を重ねてできるだけ希望に近いものへと煮詰めていきます。
なんですが、今回はちょっと特殊なケースで建物(屋根)はごく普通の住宅なんですが屋根の片側ほぼ全面にソーラーパネルが乗ってるんです。
ご相談時に写真を見せていただき「おっと、これは簡単にルーフタワーが乗せられませんよ!!」
屋根の棟をまたぐことすらできないくらいにソーラーパネルが乗っているので片流れの屋根に設置するようなイメージで考えなければいけない。
ルーフタワーの足を切って傾斜に対応するなどした例はあるのでできなくはないがずり落ちていくことを止める細工が必要だし簡単じゃないし危険でもある。
ソーラーパネルが乗った側の屋根は隅っこの一部だけわずかに歩ける程度のスペースはあるが作業することは無理。
もう片側の屋根だけで作業しルーフタワー(アンテナ)を設置しなければいけないことになる。
アンテナの中心が屋根の真ん中よりズレることにより隣家へ領空侵犯しない距離にも影響が出る。
いつも言ってる安全でストレスなく運用できるアンテナを設置させていただくために取った作戦は・・・
傾斜屋根に対応する土台を作って乗せる。
これは簡単な絵を書きご自宅宅を建築した工務店さんに相談してみてと施主様に託す。
ウチで作って乗せることも可能だが屋根の構造や柱の太さや位置などをきっちりわかっている施工工務店さんに任せることができるならそれに越したことはないしおそらくそうした方が費用も安いだろうと思ったから。
そうして数日後には工務店さんが引き受けてくれるという連絡が入り作る土台のサイズなどについてのやり取りを行い土台の完成と施工を待つことに。
土台ができて施工日が決まった。
クレーン車で土台を据えるのでと工務店さんから連絡をもらい、ではその日にウチも行きますのでクレーンで材料上げさせてくださいと・・・
じゃ現場はクレーン車8時入りですのでお願いします。
はい、8時ですね! と言ったが8時に野洲まで行くのは結構厳しいか!?
頑張って早起きしますが8時にはよう入らんかもしれませんのでご勘弁をとわがままを言う('◇')ゞ
21日、朝7時に店を出て現場到着8時半。
もうクレーンのブームが伸びてる。
ちょうど土台が屋根に上がったところのようで挨拶もそこそこに位置を決めたいので確認してくださいと・・・
すぐ屋根に上がって位置を決めて土台を固定してもらう。
工務店さんが土台を固定している間にウチは積んできた材料をおろして地上でルーフタワーにローテーターとベアリングを組み付けてマストを挿すところまで仕上げる。
工務店さん手配のクレーンを使わせてもらって組み上げたルーフタワーを屋根に固定した台座まで上げてロープで仮に固定する。
ここでクレーン車と工務店さんは撤収。
朝9時半には屋根の上にルーフタワーが乗りローテーターも付いてマストが刺さった状態までできたがウチの仕事はこれから。
屋根に固定された土台とそれに乗せたルーフタワーをボルトでつなぐ。
土台のベース板(鉄板/6mm)とルーフタワーの足に穴を開けて8mmボルトで固定。
これで今日の風ならまず落ちたりすることはない。
いつもとは手順が全く逆だが今日はこの状態からステー張り。
家の柱にO型コーチ(アンカー)を打ちステーを張っていく。
ステーをしっかり張って完全な形にできたのがちょうどお昼。
朝早かったのもありメシ抜きぶっ通しはさすがにきつかったので昼食タイムとさせともらう。
昼からはアンテナを乗せてケーブルを敷設。
今回のアンテナはクリエートさんの330V-2AとナガラさんのTD-1217Jそして第一電波さんのX6000。
このアンテナで3.5MHz~1200MHzまで出られるが唯一10MHzだけが出られない。
設置位置がソーラーパネルがあるために家屋の中心からずらしての設置なので海連半径の都合上10MHzは諦めることに。
ケーブルの敷設もソーラーパネルがあるので最短距離では困難でした。
パネルの上を這わすわけにもいかずちょっと距離が長くなるがパネルのふちを回るように固定して屋根から降ろしてシャックに入線。
同軸3本とコントロールケーブル2本のコネクター処理を済ませて動作確認を済ませたのが4時半近かったかな。
これで終了なら良いが330Vは調整作業がある。
真夏の日が長い時期だとやってしまおうかと思うところだがこの時期はもうすぐ日が落ちる。
無理して暗い中やるなんぞええ仕事ができないしなにより危険なので日没サスペンデッド。
調整の必要な低いバンドはまだ使えないが14MHzから上はすべて問題なく使えることが確認できているので施主様にはいましばらく我慢してねとお願いして出直すことに。
とりあえず格好にはなってるので写真をパチリ。
工務店さん作成の土台もきっちりできてるししっかり屋根に固定されているから安心感がある。
ステーも完璧な4方向とは言えないにしてもしっかり効いたステーが張れたので問題ないだろう。
アンテナはDP2本なので90度シフトしているが各バンドのSWRも良好できっちり働いている。
(調整が必要なバンドは現時点で未調整。)
あとは330Vの調整作業がすんない行くことを祈るだけ。
施主様、完成まで今しばらくお待ちくださいませ。
昨日はアンテナの設置ありがとうございました。
おとといは風が強かったので気になっていましたが、幸いほぼ無風でほっとしました。
タワーを上げた後のアンテナ設置も手際よく、見てて気持ちよかったです。
けいはんな通信さんは安全寄りの提案をしてくださるので安心してお願いできました。
これからはメンテ中心になると思いますがよろしくお願いします。
かなり欲張りなタワーですね。
でも、けいはんな通信さんの技術力でクリアー。
すばらしいです。
BQTさんコメントありがとうございます。
やはり風が吹いて怖い思いするのは本人とそれ以上にご家族とご近所さんなんですよね。
万が一にでも倒壊事故やアンテナが飛んでいくような事故を起こすと2度とアンテナ上げられないでしょうし下手すると住んでいられなくなる可能性もあるわけで・・・
そういう思いで安全第一に考え控えめな設計を提案するようにしています。
物足りなく思っておられる方もいるのはわかってるんですが自分も数々怖い経験をしていますので・・・
若い時には自宅のルーフタワーで無茶して台風で大事故ってことも経験してるんでね(笑)
このシステムでもじゅうぶんに遊んでいただけるはずです。
お楽しみいただけるとなによりです。
FB-DX!
BSOさんコメントありがとうございます。
んっ!? 誰??? って思いました。
3のコールよりゼロの方が頭の中にあるから一瞬わからなかった(^^ゞ
技術力っていうかなんでしょう経験を重ねて引き出しの中にあった知恵と言うんでしょうかそんなのを改めて現場に合わせた使い方をしたらうまくいくだろうと組み合わせていくんですね。
今回は工務店さんのご協力があったからうまく良いものができました。
なにより施主様のファイトが一番大事で業者の知恵を絞り出したりやってやろうという気にさせたりするのはすべて施主様のファイトがそうさせるんだと思ってるんですけどね。
小言になりますが高い安くしろもっとまけろとばかり言われるとやる気も失せちゃいます。
お互い人間なのでうまく調子に乗せて仕事させていただければ上手に踊っちゃうんですけどね(笑)(笑)(笑)
あー、素晴らしい&羨ましいANTシステムですね!!
欲を満たすために、世の中に高いものはないと思います。(高価なものはそれなりの高い価値があるから「高」&「価」で、効果もあり(笑)。
1割、2割安いとか、その時はいいのですが、
後々、5割、10割の損することも世の中多々ですよねぇ。
無線関連の品って、一見高価ですが、
車や音楽関係とか、他の趣味と比較すれば、意外と手が届くように感じます。(私ら庶民はおカネの算段にかなりの工夫がいりますけど・・・)
実家が、かつて運送業やってましたが、得意先の品をどこからどこへナンボの数を運んだのをわかっている唯一の外部の人間やから、お得意先さまもカンタンに値段では転ばない、いいお客さまでした。(ウチが他所でベラベラしゃべったら大変ですから、ははは)
今西社長は、きっとそういうところもきちんと押さえてお仕事されてるんやなぁと、いつも感じて拝見してます。
JF3TBM。
TBMさん毎度!
無線機はお金さえ段取り出来たらポチってでも簡単に買えるけどそれだけでは満足にアマチュア無線を楽しむことができないんじゃないかと思うんですよね。
もちろん楽しみ方は人それぞれなのですべての方がそうだとは言いませんけど・・・
多少なりともDXを意識して楽しもうとするとアンテナが一番重要であることを痛感するときが来ると思うんです。
大枚はたいてアンテナ設置して後悔することが無いように任せていただいた責任として無い知恵絞ってるんですけどね。
「いつかはクラウン」じゃないけど『いつかはタワー』を夢見て・・・
TBMさんとこも早よ屋根上がらしてや!
私が上空勤務引退するまでにご用命くださいますようお願いしときます~(笑)