先週のお仕事。(12月13日 )
今回のご依頼は再開局でHF~1200まで運用したいが大屋根に大きなアンテナを上げてまでは難しい。
ベランダでこじんまりアンテナを設置してと言う程度でソコソコ遊べるように出来ないかと言うご相談でした。
まずはHFの無線機とアンテナを用意して予算次第で1200MHzまでのアンテナを用意ししたいと・・・
で、まず依頼者様が考えておられる予算の中からアンテナ系統に掛かる予算を引いて残った予算で無線機を選ぶことにする。
ベランダの様子は事前に写真をいただきある程度把握している。
アンテナは出来るだけ長い物を選びたい所だが隣の敷地に領空侵犯することもあり、「こじんまり」とのお考えもあったので第一電波さんのHFV5を選択。
このアンテナは片側2mほどのVダイポールで7MHz~50MHzまで運用できる。
予算が合えばその上に144/4301200MHzのGPを乗せる計画。
こんな感じでお話を進め、実際に設置するベランダを下見し見積もりをさせていただくと言う手順です。
なんとか予算内でソコソコの設備ができそうなのでと合意いただき工事の段取りを進めさせていただきます。
依頼者様宅のベランダはアルミ材で出来たテラス風の屋根が付いているので、その柱などを利用してアンテナマストを建てる段取りを考えている。
下見時に詳細な寸法を取ってマストを支える「腕木」なるものをアルミ材orステンレス材で作ろうと作戦を練っていた。
分厚いアルミ材が入手できたのでそれを使うことにし、写真のようにLアングルで柱を挟むように上下2本の腕木」でマストを支えた。
屋根を受けている部材にも振れ止めを考えてネジでしっかり固定したので、依頼者様も「こんなにガッチリ付くなんて!」と驚いていただくほどしっかりしたマストが出来た。
マストは38φ/3mとしトップに第一電波のVX4000(144/430/1200MHz ノンラジアル)、その下1mほどにHFV5を取り付け。
VX4000は無調整なので余計な心配はなし。
HFV5に限らずHFのアンテナは地上高や建物などの干渉による影響を受けやすいので設置してからの調整が気がかりだ。
安全性を考慮しあまり高くしてないので屋根にも近いし・・・
さて実際の設置(調整)だが、まずはHFV5の各バンドのエレメントを取扱説明書どおりの寸法で組立てる。
地上で3mほどのマストに付けSWR測定。(組み間違いが無いかなどの点検を兼ねてまず動作確認)
地上からわずか3m足らず、周りに家や車などがある悪条件だが各バンドの同調点はほぼ取説どおりだ。
この時点で「なんと再現性のいいアンテナだ!」と感じます。
しかし、実際の位置に取り付けると、地上高は変わるし建物との距離感も変わるのでどうなるか
最初に地上でテストしておくと実際の取り付け位置でSWRが悪くても改善のヒントになるからやっておいたほうが良い。
周波数とSWRのデーターを控えておくと変化に応じて調整するときのヒントにもなる。
SWRが極端に悪くてもアンテナの不良ではなく、なにかが悪さをしてると考えられるしね
で今回は・・・
実際の取付位置(高さ)に固定し、方向は動かせるように仮止め。
その状態でSWRを確認したら、地上で確認したときとわずかに変化はあったもののほぼ取説どおりの周波数で同調しSWRも1.5以下です。
屋根との干渉などを確認すべくSWRを測定しながらアンテナを回すと悪い位置で1.6くらいまで上がります。(いくつかのバンドで)
これは屋根の縁の金属が影響してると安易に推測できました。
アンテナのビーム方向(8の字)を北海道と九州(北東と南西)に向くようにするのがベストだと思いますが、その方向が一番干渉が大きい方向です。
SWRが1.1.6ですから問題ないといえばそれまでなんですが、少し気になるので少し方向をずらしてSWRが最良になる方向で固定しました。
これで最良点のSWRは各バンドで1:1.3以下になりました。
まぁ8の字ですし、多エレメントのビームのように切れるわけではありませんからまったくといって良いくらい問題ないと思ってます。
あとは同軸の仕舞いをして完成。
今回設置させていただいた第一電波さんのHFV5ですが、いちから自分で設置するのは初めてでした。
もちろん発売時より現物は見てましたし、お買い上げいただいた品物を店頭で仮組みしたりと触ってはいましたよ。
そしてメーカーさんより「再現性が良いから初心者さんでも調整がしやすいので安心してお奨めください!」とは聞いていました。
実際に購入いただいたお客様からも「簡単にできたしSWRもバッチリです!」とのレポートもいただいてました。
でも自分でやってみないと納得しない性分です。
今回は非常に興味を持ちながら工事させていただきましたが、改めてこのアンテナの再現性の良さに驚かされました。
まぁどんな悪条件に設置しても同じ結果がでるとは思えませんが、ある程度の条件をクリアしてればホントに初心者さんにでも扱いやすいアンテナですね。
ただマストをしっかり固定する術は経験が無いとなかなか出来るもんじゃないと思います。
もちろん台風の時の心配もありますから、この部分が肝心ですので安易に考えすぎるのは危険ですしね
今回、「腕木」をアルミ材で作ったのも柱からの距離や他に力を掛ける所が有るとか無いとか、いろんな条件を考えての選択です。
錆びないからアルミってだけでは強度が不足すると思いますので・・・
はい、今回も事前準備万端での現場作業と下請けさんの手際の良さ(これを言っとかないと次の仕事してくれないから)でササット完了!
依頼者様は早速無線機のスイッチON ほぉ~結構聞こえるやん(^^) と満足そう。
そう無線機は早々に買っていただいたんですが、どうせ申請して免許来るまで電波出せないでしょと時間稼ぎしてその間に「腕木」の仕込みをしてました。
だからかなりのお待たせでしたのでね。
奥様のSWRが上がるような邪魔者をベランダ内に作らずに済みましたし今までどおりに洗濯物を干していただけます(^^)からその部分も喜んでいただけたようです。
ご依頼いただきましたJQ3NAA局様どうもありがとうございました。
小さなアンテナではありますがじゅうぶん遊んでいただけるようにはなったと思いますよ。
1アマ取得で再開局にこぎつけたんですから、ゆっくり長く楽しんでください!
それと息子さんが無線小僧になる日も楽しみにしてますしね~
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